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インターベノリン

プロジェクトリーダー:川田 学

放線菌Nocardia sp. ML96-86F2が産生するインターベノリンは抗ヘリコバクター・ピロリ菌活性と抗がん活性を併せ持つユニークな化合物です。私たちはAIも駆使した化学合成的アプローチによってそれぞれに最適なインターベノリン誘導体の創生を行っています。

Intervenolin

(1)抗ピロリ菌薬候補化合物

胃がんの原因であるピロリ菌は、世界の人口の約半数が感染しているといわれています。その除菌治療は、抗生物質2剤を含む3剤併用療法が行われていますが、薬剤耐性ピロリ菌の顕在化、抗生物質による腸内細菌叢への毒性が問題となっています。インターベノリン誘導体は薬剤耐性ピロリ菌にも有効で、ピロリ菌の核酸生合成酵素DHODHを阻害することで、腸内細菌叢には無毒でピロリ菌選択的な抗菌活性を発揮します。動物実験において、インターベノリン誘導体は単剤で3剤併用療法と同等以上のピロリ菌除菌効果を示します。

(2)抗がん剤候補化合物

がんの組織はがん細胞だけでなく繊維芽細胞など周辺の間質と混在して成り立っています。この間質はがん細胞の増殖や転移に密接に関わっているだけでなく、がん免疫を弱体化したり、抗がん剤を効きにくくします。インターベノリン誘導体はこうした間質が関与するがん細胞に有効な抗がん剤として開発しています。インターベノリン誘導体は、ミトコンドリア呼吸鎖複合体Iを阻害して、がん細胞の内外を酸性化することで抗がん活性を発揮します。