微化研プロジェクト

CPZEN-45

  • プロジェクトリーダー:五十嵐 雅之

結核が日本で再興感染症として認識され、特にAIDSウイルス蔓延に伴うHIV感染症との合併症による重篤化が問題となってきている一方、世界的には東南アジア、アフリカ地域でその発症者数、発症率から見て更に深刻な事態を演出しています。2008年、WHOは発症者が900万人以上、また、年間130万人以上の死亡者を出していると報告しています。

多数の発症者に対して既存薬剤を長期投与する現状は耐性菌の出現を大いに助長しています。実際、結核治療の主要な第1選択薬であるイソニコチン酸ヒドラジドおよびリファンピンに耐性である多剤耐性結核あるいは上記第1選択薬に加えて、第2選択薬のフルオロキノロン系薬剤および、少なくともアミカシン、カプレオマイシン、及びカナマイシンの1種に対して耐性を有する超多剤耐性結核へとその耐性化が進んでいます。

このような背景の中で新規化学構造を有し、既存薬剤と異なった作用機作を持つ強力な抗結核剤の開発は急務です。前述の第2選択薬として使用されているカナマイシンの発見者、梅澤濱夫博士が当研究所を創設した後50余年に渡り、我々は多くの抗結核薬の開発研究を続けてきました。その一連の研究の成果として2003年、カプラザマイシンを結核に有効な物質として微生物の代謝産物中に見いだしました。

<図1 Structure of caprazamycin B>
Structure of caprazamycin B
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引き続き、本物質およびその誘導体に関し、分子構造と薬理作用との相関性を調べることによりCPZEN-45の創製に至りました。また、本化合物は現在問題となっている耐性菌に対しても有効であることが確認されました。

さらに、本物質を一刻も早く医療現場に提供するための開発法について議論し、2007年に米国で世界の結核患者を救済するために創設された半官半民の組識である”The Lilly TB Drug Discovery Initiative”に参画し開発を進めることにいたしました。我々は現在、本組織に加わっている米国の科学者と伴に精力的に開発研究に取り組んでいます。

本プロジェクトは所内の多くの研究者が参加している当研究所最重要課題の一つです。