微化研プロジェクト

トリプロペプチン

  • プロジェクトリーダー:橋爪 秀樹

MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)、VRE(バンコマイシン耐性腸球菌)は常在性のグラム陽性好気性菌で日和見感染菌として知られており、免疫の低下した患者さんに敗血症・肺炎・心内膜炎などの難治性の重症感染症を惹き起こす。さらにこれらの菌は、ほとんどの既存薬に耐性を示し、新薬の開発が急務となっている。

我々は、上記の病原菌に有効な化合物を微生物代謝産物から探索し、沖縄の土壌から分離したライソバクター属細菌の培養液中からトリプロペプチンを発見した(図1)。

<図1 トリプロペプチンの構造>
トリプロペプチンの構造
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トリプロペプチンは既存薬と交差耐性を示さず、MRSA, VRE, PRSP(ペニシリン系薬剤耐性肺炎球菌)に優れた抗菌力を示した。また本化合物は静脈内投与で安全性が高く [45th ICAAC (Interscience Conference on Antimicrobial Agents and Chemotherapy), 2005]、マウスの MRSA/VRE 全身感染モデルにおいてバンコマイシンより優れた治療効果を示した。また本化合物が既存薬とは異なる機序で細胞壁合成を阻害することを明らかにした(図2)。

<図2 黄色ブドウ球菌の細胞壁合成系>
トリプロペプチンの構造
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なお本化合物のマウスの体内動態・治療試験成績および作用機序に関しては、2010年9月の50th ICAACにて発表を行った。